「おい、佐藤!聞いてるのか?」
またもや怒られた。
古典の小早川はいつもベストを着ている。
今日は灰色のシャツに黒の毛糸のニット。
「は~い・・・」
馬鹿にしたように聞こえたのか、小早川は私を立たせ、古典の教科書を読ませた。
次の休み時間に王子の秘密ノートを見ると、最後のページには
素敵な灰皿王子の絵が描かれていた。
その隣には、なぜかさっき見た小早川の服装をしたイケメン教師の絵が描かれていた。
「ちょっと!!亜沙子!これ、まさか小早川?」
「そっくりでしょ~!」
亜沙子の小早川への恋はまだ継続中のようだ。
プリンス優雅に乗り換えたらおもしろいのにと思っていた私は少し反省した。
人の気持ちってそんなに簡単に変わるものじゃないよね。