翌朝、早めに学校へ行き、私と亜沙子は保健室へ向かった。
保健室の先生の名前を知るために、生理痛の薬をもらいに行った。
「先生、おなか痛いから薬ください!」
「あまり薬に頼らない方がいいんだけどね。」
先生はそう言いながら、薬をくれた。
「先生の下の名前って何?」
亜沙子は直球勝負に出た。
「え?まちこだけど?」
私と亜沙子は、怪しげな笑みを浮かべたまま保健室を出た。
「一瞬、さちこかと思った!!」
「本当だよね!!」
私は薄々気付いていた。
きっとあの音楽の先生だ。
いつかピアノの前に座っていたあの先生は、切ない表情をしていたような気がする。
「実はね・・・」
私は、昨日の出来事を全部亜沙子に話した。
亜沙子は、びっくりしたり、怒ったり、泣きそうになったりしながら、私の肩を抱いてくれた。
「王子・・・陽菜のこと好きなんだよ。だから、辛かったんだね。」
亜沙子は、王子のことをあきらめちゃだめだと言ってくれた。
王子は、私のことが好き?
それは違う。
だって、最後に選んだのは、私じゃない。
愛してるのは、「さちこ」だけ。
だから、さちこを選んだんだ。