強引に手を引っ張られ、そのまま走り出した。
風が強くて、その風に逆らって走った。
引っ張られているはずなのに、いつの間にか私も王子を抜かしちゃうくらいに走っていた。
市役所のドアを開け、王子は歩き出す。
静かな廊下を歩くと、階段があった。
その階段につくと、王子はわざとらしく大きなため息をついた。
「はぁ・・・俺のこと、嫌いになったか?」
王子は、タバコに手を伸ばしたが、またポケットにしまった。
私は久しぶりの王子の顔を、じっと見つめた。
嫌い・・・になんて、一生なれない。
顔を見ると、溢れてくる。
抑えていた『大好き』が、心から溢れ出すよ・・・
「・・・なれません。好き・・・好きです。」
また王子はニヤっと笑ってから、呆れたようにため息をついて、階段に腰掛けた。
「嘘じゃ・・・お前は俺のこと、もう嫌いになった・・・」
そして、足を広げて、私の手をそっと握った。
立ったままの私は、座った王子の股の間にすっぽりと入った。