「一緒に帰ろう、陽菜ちゃん!!」
「部活終わるまで待っててよ!佐藤!」
優雅と山田の2人は、私を取り合って、楽しんでいるように見えた。
こんな状況でも、私が女子からいじめられないのは、私のこのポワーンとした性格のおかげだろう。
みんな、羨ましがりながらも言うんだ。
「陽菜ちゃんとあの2人の会話が面白い!」
「結局どっちも振っちゃうんでしょ!」
好きになろうとどんなに頑張っても、王子ほど好きにはなれないと感じていた。
私はやっぱり王子しか好きになれない。
優雅と山田が私に優しくすればするほど、私は私の生活の中に足りない「何か」を探してしまう。
あの「ときめき」、王子にしか感じることのないあの気持ち。
王子が遠くなればなるほどに、感じてしまう。
王子のことが、本当に好きなんだって・・・