サッカーバカ山田は、今日に限ってユニフォームを着ていた。


サッカーのユニフォームってかっこよく見えるんだよね・・・



今まで誰にも告白されたことなんてなかったのに、どうして今、同時に2人から好きだななんて言われるの?


しかも、一番言って欲しい人からは言ってもらえない。



その日から、優雅と山田のドタバタ劇が始まった。



私自身の気持ちは置き去りのまま、2人は私を奪い合う。





「優雅!陽菜ちゃんって呼ぶのやめろよ!」


「うるさいな!悟こそ、佐藤佐藤って呼び捨てにするな!」




置いてけぼりの私を見て、亜沙子は笑う。




「陽菜も大変だね~!好きでもない男2人に言い寄られて。」







明るく振舞う亜沙子だけど、きっとまだ小早川のことを好きだった。



私達は、まだ学校の中にいる「さち」さんを探してはいなかった。


でも、やっぱり心の中では2人とも気になっていた。



クラスメートに一人、「さっちゃん」って子がいるんだけど、その名前を聞くたびに亜沙子はビクっとしていたんだ。



切ないよ・・・