それから、何日かが過ぎ、私と王子の距離はどんどん広がった。
王子が手を振ってくれることはなかった。
私も、市役所を見ないようにしていた。
毎日かかっていた電話もプッツリと途絶えた。
どうしてだろう。
あんなにも近くに感じた王子が、今は手の届かない場所にいるようだった。
酔っ払って電話をくれたのが最後だった。
あんなに甘い言葉をくれたのに・・・
自転車で仲良く夜道を走ったのに・・・
優しく抱きしめてくれたのに・・・
何もかもが夢だったんじゃないかって思えてくる。
王子が市役所から手を振ってくれなくなってしばらくして、
私は席替えで、廊下側になった。
これで、もう王子と喫煙女の姿を見ないで済む。