「昨日の夜もその女に会いに行ってたらしいぞ。姉ちゃんが飲みに誘ったのに断って、どこかへ行ったらしい。ホテルに戻ってきたのは、夜中だったんだって。」
誤解してる。
喫煙女は、半分間違っていて半分正しい。
昨日、王子が会っていたのは、忘れられない女じゃなく、
しつこく追いかけてくる女子高生なんだよ。
でもね・・・
王子は私を心配して、早くに送ってくれたんだ。
夜中まで遊んではくれなかったんだよ。
涙が溢れて、机の上にポタリと落ちた。
「陽菜・・・」
「佐藤・・・悪い。お前そんなにあいつのこと好きだったのか?」
走り出した私を追いかけてきたのは、亜沙子。
「陽菜・・・どうしたの?昨日会ってたのは、陽菜でしょ?」
「うん・・・うん・・・でも、夜中まで一緒にいなかった。私と別れた後・・・誰かに会いに行ったのかも。」
涙はもう乾いていた。
亜沙子が私の頭をぎゅっと抱きしめてくれて、優しく撫でた。