1分ほど歩くと、小さな公園があった。
子供が喜ぶような遊具もなく、ただ砂場とベンチがあるだけの地味な公園だった。
「緊張してる?もしかして・・・」
王子は公園のベンチに座り、立ったままの私をじろじろと見た。
「大丈夫です!」
そう言ったけど、内心、ものすごく緊張していて、何を話していいかわからなかった。
電話をするような関係になってから、会うのは初めてだった。
それに、さっきの素敵なボーイ姿を見たこともあって、私のドキドキは止まらなかった。
今来ている、薄いピンクのトレーナーもすごくよく似合っているし、いつもより自然な髪型も、かっこいい。
「眼鏡はしてないんですか?」
「陽菜の顔よ~く見ようと思って、コンタクトにしてきた。ってのは嘘じゃ。陽菜にキスする為に邪魔になるから・・・くくくく。ってのも嘘。」
王子は、自分のひざを叩いて笑い出す。
「晴斗さん、からかってるんですか!!ひどい!」
私は、プイっと横を向き、少しすねてみた。
「今日の自由時間、山田君の姉ちゃんに誘われたんじゃ。一緒に飲みに行こうって。でも、断って、お前と会ってる。それでも、まだすねる?」