「ごめん・・・ありがとうな、津田。」



「いつでも呼んでください。」



亜沙子は、目に涙をいっぱいためて、準備室から出た。



私はその涙を悲しみの涙だと思った。


でも違っていた。




「嬉しいの・・・陽菜ぁぁ!!嬉しいよ~!」




亜沙子は私の胸で泣いた。



小早川が生徒である亜沙子にあんな話をしたのは、特別な感情があるからだと思う。



亜沙子は、そんな贅沢はいわないって笑った。




「先生が・・・大好きな彼女の代わりに、私を抱きしめてくれたんだよ。それが嬉しいんだ。すっごく優しくて・・・温かくて・・・先生の匂いがした。」




さっきまで「小早川」と呼んでいたのに、亜沙子は「先生」と呼ぶようになっていた。


「亜沙子、頑張ったね!」


「次は、陽菜の番だね!抱きしめてもらいなよ!」