「せ、先生!?」
亜沙子のびっくりしたような声に、私は扉の向こうを覗き込んだ。
ええ・・・
鼻血出る!!
小早川は、グレーのベストを着ていた。
夕日が差し込む準備室で・・・
優しく亜沙子を抱きしめていた。
扉開けっ放しでそんなことしちゃう小早川は、きっと秘密の恋に向いていない。
亜沙子と付き合ったとしたら、3日で学校にバレるね・・・
まぁ、私が全力で守るけどね。
「さ・・・ち・・・」
小早川の口から微かに漏れたのは、「さち」と言う女性の名前だった。
切ないよ・・・
抱きしめられているのに、小早川の目に映っているのは、「さち」なんだ。
いつか、「あさこ」って呼んであげて、小早川!!
お願い!!
いい大人なんだから、高校生の恋心にも気付いてるんでしょ?
抱きしめたからには、責任取って、亜沙子を幸せにしてよね・・・
じゃないと、私が許さない。