その声は、サッカーバカ山田の声。
話している相手は、うまくいっていないと噂になっていたサッカー部マネージャーの彼女だった。
まだ別れてなかったんだ。
噂は本当だった。
冷たい山田に愛想をつかした彼女が別れ話か・・・と軽い気持ちでつい盗み見していた。
「頼むよ・・・どうして、俺じゃだめなんだよ。有希・・・」
山田がこんなにも彼女を好きだったんだと知り、驚いた。
ただ彼女が欲しくて、適当に付き合ってると勝手に思っていたけれど、今の真剣な山田の表情を見ていると、なんだか切なくなってきた。
山田、本気だったんだ。
彼女と別れたくなくて、必死な顔して、彼女の腕を掴んでいた。
かっこ悪いけど、かっこいいよ。
山田、頑張れ!!
私は山田に心の中でエールを送った。