今頃、小早川と亜沙子は誰の恋について話しているのだろう。
禁断の恋、藤壺と光源氏の恋か・・・
朧月夜か・・・紫の上か。
「むふふふふ」
不気味な笑い声が廊下に響く。
小早川って、授業中いつも亜沙子のこと気にかけてるよね。
そういえば・・・
もし2人が付き合っちゃったりしたら・・・もうやばいくらい学校が楽しくなる。
2人の秘密を守る為に、親友の私はいっぱいいっぱい協力するんだ。
うまくいって欲しいな。
亜沙子も私も幸せになれたらいいのにな。
私は、最近サボり気味のテニス部の練習を横目に見ながら、教室へ戻る。
亜沙子が帰ってくるまで、秘密ノートに新しい情報を書き込もうと思った。
教室のドアを開けようとしたときだった。
「俺は、別れたくねーよ!」
大きな声に、びっくりしてドアを開けるのをやめた。