放課後、私は感謝の気持ちを込めて、亜沙子を無理矢理連れ出した。



行き先は・・・国語準備室。



亜沙子の恋の相手、古典の小早川に源氏物語について語ってもらおう。



「やだやだ・・・だって、好きってバレバレじゃない?」


「源氏物語に興味があるだけだよ!!亜沙子もそろそろ動き出さないと!」



嫌がりながらも顔を赤らめる亜沙子を見て、恋って素敵だなって思った。



私もこんなにいい顔してるのかな。

王子と電話してる時の自分の顔、輝いてるのかな。




「失礼しま~す!」



国語準備室ほど、地味な部屋はないかも知れない。


小早川以外は、ほとんどが50歳を超えた先生ばかりで、その中にいると小早川がかっこよく見えてしまう。



ブルーのベストを着た小早川は、自分の机で辞書を広げていた。