「厄介だね・・・山田。」
亜沙子は、真剣な表情でノートを広げた。
「山田って結構ウザイよ・・・」
少しずつ良い方向に向かっていた私の恋は、思わぬ邪魔者によってかき乱されそうだった。
「山田が、もしお姉ちゃんに陽菜が好きだってこと言ったら、ますますややこしいよ。でも、王子は陽菜が好きってことは知ってるわけだし、関係ないと言えば関係ないか・・・」
「王子の本音が知りたいな・・・本当に山田のお姉ちゃんと何もないのかな。怖いよ。」
恋をすると本当に感情が豊かになるというか、コロコロ気持ちが変わる。
昨夜の幸せな気持ちはどこかへ吹き飛んでしまっていた。
3日連続電話できたのに・・・何を落ち込んでいるんだろう。
近付いてるはずなのに・・・
声を聞いているとあんなにも近くに感じるのに。
チャイムが鳴り、私と亜沙子は廊下を走って教室へ戻る。
山田と優雅がこそこそと話しているのを見ると、不安が広がった。
でも、亜沙子が『大丈夫、私が守るから!』という心強い言葉をくれた。