「先生、今度源氏物語の本、貸してくださいね。」
亜沙子の鞄の中にいつも源氏物語が入っていることは知っていた。
「お?津田は、源氏に目覚めたか?いつでも貸してやるから国語準備室まで来なさい。」
おおっと!!
亜沙子の恋も急展開??
私も亜沙子も大好きな人とうまく行けばいいのに・・・
大好きな親友だからこそ、一緒に幸せになりたいって思うんだ。
私のこと、自分のことのように喜んでくれる亜沙子が好きだ。
「やったじゃん!亜沙子!放課後、小早川の所いこっか!!」
私は赤面してる亜沙子の肩を抱いて、教室まで連れて行った。
「私、おかしいのかなぁ。小早川ってどう見てもおじさんだよね・・・」
亜沙子は、私に引っ張られるままに席について、ため息まじりに言った。
「そんなの関係ないって!好きなら、自分にとっては王子様だもん!」
本当にそうだよ。
王子だって、実際ちっとも王子様じゃなかったし、
Sだし、変なしゃべり方だけど・・・
私にとっては、世界にたった一人の王子様なんだ。
私をこんなにも幸せな気持ちにさせてくれるのは、晴斗王子ただ一人なんだ。