手を取られ、ひんやりと冷たい感触が私の指を包んでいく。


その様子を、私はただただ眺めていた。




「………これからは敬語禁止だから」


「っ、は、はいっ」



私の指にそれを通した先輩は満足げに言う。

私は指に光るそれをもう片方の手でさすりながら、ただただ頷いた。



「……言ってる側から敬語」



「ほんとバカ」と笑いながら私の頬を伝う涙を指で拭う先輩。


その手はそのまま私の頬を優しくなぞり、自然と目を瞑れば先輩の温もりを感じた。