ブレスレットがついた手首と、傷のついた手が、急に痒くなる。

「お前にとって、敵というのは何だ?」

敵……?敵…って…、そりゃ…、

「自分、そして、……仲間です。」

「ほぅ…、面白い。」

そう言って隊長は俺の頭をガシガシと叩いた。
その衝動で、頭につけていたバンダナが緩んでしまった。

「俺に頭を叩かれた奴は後ろを向け!!」

1時間くらいだろうか、それくらい経った時に、隊長が声を上げた。
俺は周れ右をし、後ろを向いた。
俺の後ろに並んでたやつと目が合い、思わず目をそらしてしまう。

「叩かれなかった奴は退場!以上で新兵団試験を終了する!寮で荷物まとめ、特訓用の部屋へ移動だ!」

叩かれなかった奴は退場?
パッと辺りを見渡す。

…よかった、みんな後ろ向いてる。よかった。
太陽が空の真上へ昇った頃、今は何時だろう。
俺らは寮へと一旦戻った。