「前方、未確認物体、数十匹……。」

口角をあげて燃え上がる家々を嬉しそうに眺めるあいつら。
顔だけがハッキリして、身体は透けてほぼ見えない。

生きた人間を食す奴ら。

俺ら、このまま、どうすりゃいいんだ?

身動きできないルイとミナトをつれて、
俺はどこに逃げればいいんだ?

アイツらと戦うなんざ、そんな夢見てえな話は無い。

じゃあどうする?
逃げるか?俺はまた泣くのか?

なあ、

どうすりゃいいんだよ?
このまま、俺らは喰われるのか?
それでいいのか?


この世界を、変えるっていう夢は?


俺らの街は?家族は?
みんなコイツに喰われるのか?

なあ、?なあ!?

「勘弁、してくれよ!!!!」

涙で濡れる母ちゃんの筐のブレスレットを強く握り、空に向かって叫ぶ。

シュルルルル……ッ!

「レ、オ?」

シュルッ!!
何だ、この感覚。
今俺の身体で何が起きてんだ?