「この街、どうなるんだろうか。」

一先ず街の出口付近の店の屋根の下で止まる俺ら。
酷い酒の匂いが漂っている。

ルイが腰を下ろしてそんな事を言うもんだから、また涙が出てきそうになっちまった。
俺がこんなに泣き虫だなんて知らなかった。

ミナトがさっきっから俺の手を強く握る。
こいつも不安で怖くて仕方ないだろうに、身震い一つしない。

見える範囲で街を見渡す。
……燃えてる。
人の影が見えない。

みんな、ちゃんと避難ができたのだろうか。
……俺の母ちゃんみたいになってる人は、多くないといいな。

「一つ、疑問に思っている事があるの。」

ミナトが俺の手を離し、フードを深く被った。
ルイと俺は顔を見合わせて、ミナトの方へ身体を向ける。

「疑問だなんて、僕らも疑問だらけだよ?」