「嫌だァ!!母ちゃんも一緒に行くんだよ!!」

服が焦げる。
今度は靴を脱ぎ、足で必死に火を消す。
痛みなんてこれっぽっちも感じねえ。

「言う…事、聞いてちょうだいっ…!おねが…、」

「嫌だ!!絶対に嫌だ!!俺のたった一人の家族を、母ちゃんを!!見捨てられねえよ!!なあ母ちゃん!!」

涙を流す俺の腕を、息を切らすミナトとルイが必死で引っ張る。

「っにすんだよ!!離せよッッ!!」

「最期くらい言う事聞きな!!!」

ミナトが俺の顔をひっぱたく。喉の奥が熱くなる。
最期だなんて……。

口角を上げ、母ちゃんが俺の名前を呼ぶ。

「…、生まれて、きて、くれて、あ、…りがとう…。」

ブワァッと視界がボヤけ、ミナトとルイに腕を引っ張られる。
喉が一気に熱くなり、母ちゃんが燃え上がる姿を眺める。

最悪だ。

最悪だ。

嗚咽をあげるルイと、目を虚ろにして歩くミナトに引っ張られながら歩く俺。

母ちゃんがどんどん遠くなる。

最悪だ。本当に、何なんだ。
俺は予知夢を見たっていうのか?

「レオ。」