「レオッ、お願い、早く逃げましょう!ミナトとルイを連れて!」

街の人々に次々と当たり振ってくる火の玉。
呆然と俺はそれを眺める。

俺の育ってきた街が。
火で、包まれていく。

「ッ!」

向こう側の家の陰に、ミナトとルイが居る。
ルイが腰を抜かしたのか、ミナトがルイを担いで此方を見ている。
眉を思い切り下げ、俺に親指を立てて合図を送るミナト。

「あそこにミナトとルイがいる、俺、行って避難の事伝えてくるから母ちゃん先に逃げてくれ!」

「レオッ!」

空を見上げながら全速力で向かい側の家へ走る。
何故か俺の周辺には振ってこねえ火の玉。
運がいい。

「ミナト!ルイ、あの群れに飛び込むぞ!早くこの街を抜けよう!」

「レオ、これは一体…。」

「わかんねえ、けど、ずっと向こうの空を見ると、火の玉なんか振ってねえぞ…。この街だけみてえだ。俺もよく分かんねえ…、頭が若干真っ白なんだよ…、いいからとにかく行くぞ…!」