「母ちゃん、俺も行く。」

「駄目よ、危険だから、人の群れにいなさい!」

今にも崩れ落ちそうな家々が、視界でぼやける。
あぁ、俺はまた、泣くのか。

家のドアの前で膝をつく。

「何で、母ちゃんはいつもいつも、俺にそんな…。」

ぎゅう、と唇を噛みしめる。
こんな事してる場合じゃねえのに、わかってんのに…。

「何か振ってきたぞ!!!」

誰かが叫ぶ声で俺と母ちゃんは空を見上げる。

「……は…?」

ヒューッと音をあげながら振ってくる赤い物体。
あれは…………、

「アツイッ!!!!!イタイッイタイイイイイッ!!」

火…?!