「何か、ツンと潮の香りがしたのだけど。気のせいとかじゃなく。」

「はあ……?」

潮?って、何でだ?
海に行った覚えもねえし、ましてやこの国に海っつーもんはねえ。

……海?

ズキンッ!

「ッ、うあ…………!」

「レオ!?」

布団を履いで、上半身を起こし頭を必死に抑える。

「はあっは……あ。」

思い出した。今、思い出した。
何でこんな夢忘れてたんだ?
つーか、夢なのか??

あれ、夢なのに何で潮の香りが俺からしたんだ?
塩水を被ったから……だよな?

だめだ、頭が記憶についていかねえ!
痛い、痛い!

「レオ、どうしたの?レオ?」

落ち着いたミナトの声を頼りに、俺は一言告げる。ただ、一言……。

「母ちゃんと、はやく、逃げるぞ………………!」