「優しすぎて気持ちわりぃよ!」

「え、」

常識外れの言葉をぶっかけた。
エルザの顔を見る。

…微笑んでいた。

「行きましょう、レオ。」

「…御免。」

「…此処には正直な方が居て、居心地がいい。」

お世辞ばかりの世界に居たら、感情が死んでしまう。
と、付け足すエルザ。

ミナト以外の女子と話すのは、学校に行って以来久々だから、
言葉がつまっちまう。

「自分で居なきゃ、後悔する。」

「…。」

「自分を見失ってからじゃ、疲弊してからじゃ、間に合わないぞ?」

黙る俺ら。
そのあと、言葉を発することはお互いなかった。