最近、よく思う事がある。
父ちゃんは、何で兵士になったんだろう、って。

考えても考えても、出ない答えだろうけど。
もう、いねえし。父ちゃんも母ちゃんもいねえし。

「っわ!」

コンクリートでできた道路で転ぶ俺。
隊長が怒鳴りあげる。

ばーかと言って俺を次々と抜かしていく同僚たち。
チッ…。

「大丈夫ですか、レオ?」

「あぁ。」

息を切らさず涼しい表情で俺に手を差し伸べるのは、
2つ年上のエルザ。

黒い髪におさげのよく似合う気の弱そうな子なんだが、
結構なスタミナがある。
それと、すげえ妙に優しい。

正直俺はエルザが苦手だ。

「お前、俺なんかおいて早く行けよ。」

「でも、そしたらもしもって時に誰かが居なきゃ駄目でしょう?」

「お前なぁ…。」

自分の気持ちを強く持ってるわりにはすげえ、他人想い。
自分の為に使う気持ちじゃなくて、とにかく他人の為、みてえな。