「忘れないで…」


小さな、

小さな千尋の声。

「これがワガママだっていう事はわかってるの。
わたしが忘れていくのに、わたしの事を覚えておいて欲しいって…」



零れ出る涙を俺に見られないように、俯く。

消えてしまいそうな千尋の掌を、何も言わずギュッと握りしめた。