「うん……」



頷く俺の胸に刺さる、小さなトゲ。

「母さん、
巧を心配して、あぁ言ってるんだ。
あんまり泣かせるなよ。」


「わかってる。」



父さんがゆっくり吐き出すタバコの煙を見つめながら、

昔、泣き虫だった俺の掌を優しく握りしめてくれた、兄貴を思い浮かべていた。