家の細い急な階段をゆっくり降りると、好物のカレーの匂いが漂い鼻をくすぐった。

幸せの瞬間。


しかし、それとは反対に、もの凄く機嫌の悪そうな母さんが、仁王立ちして俺を待っていた。

つり上がった目が、今にも泣き出しそう。


意味も解らず、差し出された俺のメットを見てハッと気付く。