《1》

1月入ってすぐに、昭和が名前を変えた。


‘平成’


それが7年前。


黒縁眼鏡をかけた平成おじさん。

白い半紙に書かれた2文字をテレビ画面に向けて見せてくれた事が、何故だかまだ記憶に新しく残っていた。

小学生だった俺は、炬燵でみかんの皮を剥きながら、その様子を眺めていた。



恍洸とたかれるフラッシュ。

その光の中で、何だか誇らしげだった姿が妙にウケた気がする。