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今思えば、あれは間違いだったのだろうか。



もし、彼女に、シキに声を掛けなかったら。そんな未来を、想像する。

もし、シキと話してみたいだなんて思わなかったら。都合のいい未来を、想像する。


そうしたら、シキは幸せだったんだろうか。幸せでいられたんだろうか。俺のいない未来のほうが、幸せでいられたんだろうか。


でも、それでも、俺はきっとあの日を何度も繰り返す羽目になっても。どんなに後悔するって、無意味だって分かってても───



───きっと、何度だってシキを好きになる。




「───何してんの?」


そんな一言で、始めた。

たぶん、ありえないくらいに緊張していたから気の利いた言葉が、出なくて。