非常階段のドアを開けて、俺は真っ先に階段を下りて、特別棟の渡り廊下を走る。



「シキ、しっかり……!しっかり、して!お願いだから、まだ、まだ……っ!」



彼女の重みが、一秒一分と経つたびに軽くなる気がして、嫌だ。まだ、まだ。



特別棟の二階から、俺は3階へ上る。目指すところは───そう、屋上だった。



はあ、はあ、はあ、と屋上へ続く階段を駆け上る。

足がもつれそうになる。息が切れて、今にも止まりそうだ。でも、それでも俺は階段を駆け上って、厳重に鎖が繋いであったはずの屋上のドアをバン……!と勢いよく、開けた。



「シキ、見て……!シキ」



倒れこむようにして、俺はシキを床に下した。


ぐったりと体の力が抜けてしまったみたいに、動かなかったシキが───ゆっくり、瞼を開いた。