「行くよ」


「スイ、おかしいよ」


「分かってる」


「もう、死んでるんだよ……!シキお姉ちゃんは、死んでるんだよ!もう、いないの!!ここに、いないの!!」


「……分かってるよ」


「行ったって、傷つくだけ。それなのに、どうしてスイが行く必要があるの!?」


「うん」


「行かないで、行かないで、行かないでよぉ、スイ」


夕雨が、俺の胸に顔を押し付けて、泣きじゃくった。

俺は、そっと、彼女の頭を優しく撫でて、


「……ありがと、夕雨」


彼女に、お礼を言った。

夕雨は肩を震わせて、涙をいっぱいにためた瞳を見上げて、なんで、と呟く。



「……俺のこと、守ってくれて、ありがとな」