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『きっと、こんな風にきみに縋ってしまうことを、わたしはもう許してもらえないかもしれない。
ごめんなさい、ごめんなさい。
ごめんなさい。弱くて、ごめんなさい。
きみがわたしを忘れて3か月が、経ちました。不思議だけれど、わたしは今まで過ごしてきた9年間よりも、もっともっと長かった。
こんなにすぐ近くにいるのに、触れられないことが、こんなに辛いものだと思わなかった。
こうして手紙を出すけれど、きっとあなたは読むことはできないでしょう。白紙だと、思うのだから。
だから、書いてみようと思う。
きみが、きっと読むことなんてないんだから。
わたしは、夕雨さんを知っています。
思い出したのは、文化祭初日の日、香澄くんと一緒にやってきた夕雨さんが、わたしをみて「シキお姉ちゃん」といいました。
そのとき、思い出したのです。
あなたと、夕雨さんのことを。
わたしは、幼いころから病弱で、よく入退院を繰り返していました。でも中学から高校に上がるころ、わたしの体はついに限界を迎えました。
お医者さんはもう長くないと、言いました。