呆れた声で、凪がそういう。気にせずもう一度机に顔を伏せると、ポッキーをぽきっとダジャレではなく本当に耳に聞こえる。凪が鼻歌で歌いながら、ポッキーを食べていた。
(……なんか気が散った)
立ち上がる。
凪がどしたん、と顔を上げるが無視。お前のせいだ。
教室を出た俺が向かったのは、いつものようにサボる特別棟の3階。
とん、とん、とん。
静かな廊下に自分の足音だけが響き渡る。かなり冷え込んでいるのか、窓は外と中の気温の差で曇っている。
すっと、窓に指をあげる。
白く靄が掛かっていた窓に触れた場所だけが透明に透き通る。
俺はただ無心で、指を動かした。