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2日目の文化祭はなかなか盛り上がりを見せた。
キャンプファイヤーと花火が盛大に打ちあがる。俺とシキは、グラウンドが良く見える特別棟の空き教室で二人、窓の外を見ていた。
「ねえ、シキ」
「ん」
ぼうっと花火が打ちあがっているのを見て、いちいち歓声を上げるシキに笑いながら、俺は何気なく聞く。
「───シキは、いきなり、いなくなったりしないよね」
答えは、返ってこなかった。
心のどこかで分かっているつもりでも、それでも彼女が返事をくれないことが怖かった。
「シキは、いきなりいなくなってしまわないよね」
「……」
「答えて、シキ」
何も答えないシキは、答え無いんじゃなかった。答えられないんだった。彼女の肩は、震えていた。小刻みに、震えていた。
触れる。
彼女の肩に。そっと。