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目が覚めたとき、まず見えたのは自分の部屋の天井だった。
だるい体を起こす。その瞬間に、頭に鋭い痛みがはしって今にも喉から
せりあがったものを、吐いてしまいそうだった。
「起きた?」
はっと我に返って、すぐ隣を見ると───俺の顔を覗きこむように、顔
を寄せている夕雨。
「お、れ」
何でこんなところに。
何も思い出せなくて、頭を抱える。
「スイ、倒れてたんだよ。倉庫で。それで、私が見つけてここまで運んで来た」
「倉庫で?」
「しかも一日爆睡してましたよ」
「え、嘘」
俺、何してたんだっけ。
頭を掻いて思い出そうとするけれど、何も出てこない。夕雨はしばらく
黙って、それから、
「なにか、見た?」
「え?」
「……ううん、なんでもない」