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時折、夢を見る。
真っ暗な本当に何も見みえない暗闇の中で、誰かが泣いている夢。
近づこうと一歩足を踏み出しても、自分の立っているところから一ミリも動かない。それでも、諦めないで何度も何度も踏み出す夢。
諦めればいいのに。
夢だと分かりきった時から、ずっと思っているのに、夢の中の俺はあきらめずに何度も声にならない声で呼びかけ続ける。
そして───
「ありえない」
「……んあ」
情けない声がでた。
ぼやけた視界の中で、きつい眼差しを向けてくる幼馴染の姿が見える。重たく感じる頭を掻きながら、伏せていた机から顔を上げた。