無理にでも笑ってしまいたかった。
冗談だろ、そんなのって。誰か自分を笑ってほしかった。

そうしてくれたら、これが本当じゃないって思える気がしたから。





記憶が、ないんじゃない。


俺が───、



俺が、〝覚えていない〟としたら?




シキを記憶から、〝消している〟としたら……?



シキという存在が、〝消えている〟としたら。



「……ば、っかじゃねえの……っ、」


嘘だ。

そんなの、単なる思い付きで、小学生がノートの片隅に書いたような空想で、嘘に違いない。