───そっと、目を開ける。
ふわっと体が浮かび上がって、まるで空を舞う鳥にでもなったようだ。
重力に引きずられるように落ちていく体に抗わずに、わたしはすっと手を伸ばした。
何の味気もない、変哲のない黒ずんだ天井がわたしから零れ落ちる涙できらきらと光り輝いて見えた。
手を伸ばすだけだった、あの狭い部屋から見た空が目の前に広がって見える。
これで、いい。
これで、いい。
生まれてきた意味も、生を受けたわけもなかったわたしが唯一、できること。
わたしがいた意味が、わたしが生まれてきた意味が、やっと……やっと、できたんだから。
ごめんね、ごめんなさい。
お母さん、ごめんなさい。
お父さん、ごめんなさい。
ごめんなさい、ごめんなさい。