「…まさか、俺の過去を⁈」

高野が、いつもと違って焦っていた。

「…それは、知らないわよ。それに、別にあなたの過去を知る必要はないし、聞く必要もない。私が言ってるのは、あなたが好きでもない人で遊ばないでってことよ」

高野は、なにも言わずに黙ってしまった。だから…

「…ねぇ、これだけは、言っておくわ。
…もう、こんなことはしないで。私の推測だけど、こんな、変な遊びをしていると、相手も傷つけるけども、あなたも傷つくだけよ」

「後悔はしないようにね」

最後は、少し笑っていった。でも、高野はずっと黙ったままだった。するとー

「・・・おまえに、俺の気持ちなんか、わからない」

小さかったけど、しっかりと聞こえた声は、すこし震えていたような気がした。

「えぇ、あなたの気持ちなんて、あなた以外誰もわからないは。無理して、教えてなんて言わない」

「でもね、あなたが傷ついたからって他の人にも同じめにあわしては、だめよ」

私が、そう言ったら高野は悲しい顔をした。これは、私が言ったのでいやだったんじゃなくて、たぶん過去を思い出してるのだと思う。

(・・・やっぱり、辛い思いしたのね)

私は、真っ正面で座っていたけれど、私から高野の隣に行った。そしてー

「…あなたが、過去にどんな想いをしたのかは、わからないけど、無理しなくていいのよ。泣きたいときには泣いて」

「いつでも、肩ぐらいは貸すわよ」

私は、高野に片手を伸ばしてギュッと高野の顔を肩に抱き寄せた。

「…あ、ありがとな」

高野は、自分の腕を私の背中にまわした。私は、片手でそっと高野の背中にやって、もう片方の手は高野の髪をそっとなでた。

「ねぇ、もうすぐ降りるから…ね⁇」

私から近づいたけど、高野は私を離してはくれなかった。

「…わかった、じゃあ、はい」

話されたかと思ったら、高野は自分の手を出してきた。私はしょうがなくその手を握った。そしたら、ちょうどドアが開いた。

私と高野は観覧車からおりて、誰もいなそうなベンチに座った。もちろん、手はずっとつないだままだった。

「…なぁ」

高野が、話しかけてきたから、私はいつものように冷たくではなく、優しく聞いてあげた。

「…お前だったら、信じられるかもな。
今から話すこと、黙って聞いてくれないか。それで、終わったらなんか言ってくれ」