愛奈を真似して、小さく俯き肩を震わす。
「…ったく、最初から黙れよ。
はい、えー。
お前らはめでたく我が校に入れたわけですがー。
知っての通りほとんど自由にさせて、やってます。
しかし、一応ルールというものがある。」
そこで一旦切るとヒロは体育館をゆっくりと見回した。
ごくり、と何人かが固唾を呑んだ音が耳に入る。
「一つ、サツに世話になるようなことはすんな。
二つ、学校の物資を壊したら弁償。
これだけは絶対守れ。
そして学校に迷惑かけんな。
あと、これは知ってる奴も多いだろうが、どんなに出席率が低くてもテストさえ良ければ進級できる。
逆にテストが悪くても毎日出席すりゃあ、進級できる。
…これくらいだな。
じゃあ精々俺をキレさせんなよ?
今日は新入生代表も来てねえみてえだし?
かいさーん。」
っ…はぁ…。
最後までだらけきってる…‼︎
第一、新入生代表の件で、こっち見ないでよ‼︎
いいじゃんっ、明日は“それ”で来るから‼︎
なんて聞こえるはずもないが心の中で盛大に叫ぶ。
「こっ、怖かったねぇ。」
愛奈がそうしみじみと呟く。
こくこくっ、と首を縦に振って同意を示した。
「けどカッコよかったね、理事長。」
うっとりと誰もいなくなった舞台を見ている愛奈に、言ってやりたい。
ヒロがどんなにおバカであるかを。
「…さて、教室に移動しようか。」
「はっ、はい…‼︎」
体育館の入り口に掲示されたクラス表を見ると、あたしと愛奈は別のクラスだった。
「えー、折角仲良くなれたのにざんねーん。」
「そうですね…。」
悪いが愛奈がなんて言ってるかはほとんど頭に入らない。
クラス表に書かれた名前に釘付けなのだから。