「そうなんですね…。
あっ、愛奈さんはよく知ってらっしゃるんですね…‼︎」


そう言うと、ハッとした後に何事もなかったように微笑んだ。


「一般的なことだけよ。
ほら、周囲が色んなことを教えてくれるから。」


焦ったように誤魔化す彼女に悟った。

彼女にとって、あいつらのことを知っているのは不利益になり得るのだ。


まあ、そんなことはどうでもいいわ。


「なっNo.2ってことは、強いんですか。」


「そうね、全国で二番めなんだからきっと強いわ。」


おや、一気に他人事になった。

そんなわかりやすい彼女に内心クスリと笑いつつ、感心したように頷く。


「すっ、すごいですねぇ。」


「…それより、夢ちゃんは引っ越して来たの?
なんだかあんまりこの辺りのこと知らなそうだから。」


「はっはい…。
先日、引っ越してきまして…。」


「どこから?」


うーん、この子はどうやら暴走族に詳しいらしいからあんまり言いたくないな。


どうにか誤魔化そうと口を開こうとすれば、教師たちが舞台に上がりはじめた。


「あっ、始まるみたいですね…。」


「別にそんなの…。」


いいじゃない、と続けようとしただろう声はその何十倍も大きな怒鳴り声で遮られた。


「でめぇらぁぁあっ‼︎‼︎
俺様が前に立ったらさっさと黙れやぁあっ‼︎‼︎」


…仮にも教育者が生徒に向かって俺様って言うのはどうなんだろう。

その怒気によってか、生徒は静まり返り話を続けようとした愛奈は俯いて口を閉じている。

ふむ、やっぱヒロが怒鳴ったら女の子は怯えるのか。

じゃあ私も怯えておこう。