可愛らしく幼い顔立ちに、オレンジに近いミルクティー色の髪。
大人っぽく見せたくてその色を選んだんだろうけど、幼さを増長させてる気がする。
睫毛バッシバシの大きな瞳は綺麗な翡翠のような緑色。
なるほど、月光が美形が多いというのは本当かもしれない。
「はぁ〜、あの男の子、可愛いですねぇ。」
そう呟けば、愛奈は嬉しそうに微笑んだ。
「でしょう?
本当に月光ってイケメンが多いのかしらね。
驚いちゃった。」
でしょう?って…。
まるでもう自分のものというような言い方だ。
キーンコーンカーンコーン…
「あっ、チャイム鳴っちゃった!
じゃあ、またね夢ちゃん!」
「はっはい…‼︎」
後ろのドアから退散して行った愛奈の背中を見つめていると、しばらくして前のドアが開いた。
「はい、きりーつ。」
やたら楽しそうに入って来た茶髪に黒縁メガネの男。
上等そうなスーツを着崩していて、本当に教師か突っ込みたくなるほどホストっぽい。
あたしがそんな観察をしている中、生徒は一切立たないし黙らない。
女子は『あれ担任⁉︎かっこよくない⁉︎』と騒いでいるし、男子なんて教師を見てすらいない。
仕方なく、静かに一人立ってやった。
みんなに無視されていてあまりにも可哀想だし。
教卓に着いた教師は諦めて着席を促すかと思いきや、ふぅ、と深いため息をついた。
そして次の瞬間…
ーーーバアァァアンッ…
壮絶な音。
その衝撃音に思わず耳を塞ぎたくなった。
まさに水を打ったように静まり返った教室で全員の視線を集める男はもちろん、衝撃音を放った教師だ。
「てめぇら…黙ってくれないですか…?
俺も、久々の対面なんで不快にはなりたくねえんですよ。」
おお、言葉の節々が乱暴だ…‼︎
てか、対面ってなんだ。