「美桜、逃げるぞ!」


そう言った工は、私の手を掴むなりそそくさと走り出した。


工………


私は工の背中をただただ見つめる。

私の手を引いてくれている工がいとおしくて、私よりは断然立派な大人で、私をいつもリードしてくれている。


私は飼い犬のように愛想を振り向く事しか出来ないけど…
それでも私はいいと思った。



工がゲーセンに向かって走るなり、ハァーハァーと息を荒立て、プリクラ機に入り身をお互いに寄せあう。



工と今至近距離。



工の荒立てる息が、私の心をくすぐる。