「里中大丈夫か?
もしかして熱でもあるんじゃ…?」


佐藤くんがそう言うと、私の額に手を当ててきた。


熱なんてない。
インフルエンザにかかるとき以外熱なんて出たことないから。


「ううん、大丈夫だよ」


「里中、何か上の空だな…
何かあった?」


「別に…
それより今何時間目?」


「今確か五時間目だろ!
あ、やべぇーもう授業始まってんじゃん!!」


「そういえば、朝のHRで不具合でチャイム鳴らないとか言ってたね」


「どうする?今から教室に戻る?」


「私はいいや!!
青柳さんに佐藤くんと一緒に居たって思われたくないし…
またガミガミ言われるのが目に見えてるから」


「俺はどうしようかなー…

里中、なら俺と一緒にサボろうぜ!」


「いいよ、そんな無理して私に合わせなくても…」


「里中ともう少し一緒に居たいからさ!
俺、あまり里中のこと知らないから
色々知りたいんだ
だから良いだろ?里中?」


「私にダメって言う権限ないから
佐藤くんの好きなようにして?」


「それは良かった」



まさか佐藤くんが"私と一緒に居たい"って言うとは思わなかった。


私も佐藤くんのことが知りたいって
心のどこかで思っていたから。


でも本当は、授業を受けたくないからで
その現実から逃げようとしているだけなのかも知れない。



ただ今一つだけ思うことがある。







それは…佐藤くんと一分一秒でも長く一緒にいたいってこと。


私やっぱり寂しいんだよね。

その寂しさを佐藤くんで埋め合わせしようとしている私…
本当バカみたい。



それは単なる我が儘だって分かってるのに。



何だか佐藤くんの前だったら、本当の自分になれる気がする。