「何か恥ずかしいな」


すぅーと首筋を通り抜け、ほんのり暖かな風を感じた時…
工が先に口を開いた。


「うん、私も!
手汗ひどくない?大丈夫?」


「全然大丈夫!
こういう風に並んで歩くと、やっぱりカップルに見られるのかな?」


「恋人繋ぎをしているし、多分…」


「キスしたいな」


「誰とキスしたいの?」


「美桜とキスしたい!
壁ドンしたことないし、やる?」


「えー、いいよー」


「へぇへ
冗談だよ!」


「分かってるって!」


「本当か?」



そう言って公園の前に着くと、工にキスを落とされた。


「んんっ…」


「美桜の唇、もう俺のもんだ!」


「まだ工に渡さないよ?」


「俺が絶対もらうから」






私の唇が、工のもの?
占領したみたいに言った工は、また私の唇にキスを落とした。




これが最後の別れだなんて、まだ私は知らない。