ん、何これ…

しかも何か硬い。


そう思いながらも目の前を見ると、缶ココアを手に持った佐藤くんがいる。


「これ俺の大好きなココア!!
里中にやるよ」


佐藤くんからまだ温もりがある缶ココアを受け取ると、次第に体の心からじわじわと熱が伝わってきた。


「あ、ありがとう
って、ちょっと話逸らさないでよ!」


「だって口寂しそうじゃん
キスしたいくらい口の中が欲求不満なんだろ?
だからココアをあげた!それだけだ!
俺の言ってること間違ってる?」


「間違ってる!そんなの間違ってるよ!!
私は佐藤くんに私とキスしたかった…?って聞きたかったの
お願いだから正直に答えて」


「何で?おかしいだろ、それ
何で俺が其ごときの質問に答えないといけねーの?

やっぱり無理だな!俺達仲良くなれそうにないわ」


「ごめん、謝るからそんなこと言わないで!」


「無理が承知の上でいってんの?
俺さ、一度そういうことあった女とはもう話さないんだよね!
だからさようなら」


「バカ、それはバカがやることだよ!
何で自分で分からないの?
何で自分で気付こうとしないの?
ありえない、こっちからごめんだわ」


「ふ~ん、里中ってすげぇな
男子にも強く言えるって何だか尊敬するわ」


「じゃあ…」


「でもそれとこれとは話が別なんだ
俺、今好きな人いるから里中とはキス出
来ない」




私は何を期待してたんだろう…



別に好きでもないのに、なぜか落ち込む。



佐藤くんの好きな人が私だったらいいなぁ~なんてどこかでそう思っている自分がいて、不思議で堪らなかった。