「美桜は随分と唐突だね
いるよ!好きな人…
私の好きな人は佐藤くんだよ」


え…
私は唖然しながらも、莉央の言った言葉に耳を疑った。

私の好きな人と全くの同一人物・・・


「そうなんだ!」


私は勘づかれないように明るい口調で言った。


「美桜大丈夫だよ!
そんなに落ち込まなくても…
私、もうすぐ転校するし
美桜も佐藤くんのこと好きなんでしょ?
頑張ってね!」


私、そんなに落ち込んだ表情していたのかなぁ…

何だか申し訳ない。


「莉央、確かに私の好きな人は佐藤くんだけど…
でも莉央にはそんな風に思って欲しくない
転校するからって、恋を呆気なく諦めてもいいの?」


「うざいんだよ…
何で美桜はそんなことが言えるの?
それは自分に自信があるから?
何か、バカみたい

佐藤くんの好きな人は、美桜だよ…

私が話し掛けると、いつも美桜の話ばかりしてる
美桜とは仲良くしたのか?とか、美桜は涙もろいから優しくしてあげてくれって・・・

いつも佐藤くんの心の中にいるのは、美桜なんだよ…
美桜しかいないんだよ…


だから佐藤くんのことは、美桜が幸せにしてあげてね」


莉央は目元から涙を流しながらも、無理して笑おうとしている。


無理矢理笑顔を作ろうとしている。


私は莉央の言った言葉に胸を打たれた。


私、何も気づいていなかった。
人の気持ちすら考えてなかった。


自分が良い方向にいく事ばかりしか考えていない。





私は人の気持ちすら理解出来ない
大バカ者だ…








ごめん、莉央………