その夜。私は眠れなくて近くのコンビニに出かけた。
水を買ってあの公園のブランコで揺れていた。
すると、耳元で声がした。
「どこの子かな?寒そうな格好して。あったかいお鍋でもごちそうするから、おじさんについておいでよ。」
グイッと手を引かれた。
えっ?あたし今誘拐されようとしてる・・・?
それは絶対に嫌だ。
「いいですから、離してください。帰ります。」
私は必死に否定した。
「お嬢ちゃん、力強いなあ。おじさんだって強いぞ。」
前よりもっと強く手を引っ張られた。さすがに私の力では抵抗できなかった。
もう、私、つれていかれてる。だれか・・・。助けて・・・っ。
「おい、手離せよ。」
なにか、聞き覚えのある声が聞こえた。
「んあ?お前誰だよ。」
ゆっくりと目を開けると、そこに立っていたのは・・・
「こいつの親友だ。俺の友だちに手ェだすな。」
「別に・・・。俺はこのお嬢ちゃんが困ってると思ったから・・・。」
「こいついやがってんじゃねーかよ。さっさと手、離せ。」
「分かったよ。」
おじさんは走って向こうへ行ってしまった。
「と、冬弥・・・?」
「おう。ひさしぶり。元気に…してたか?」
「・・・うん。してたよ。」
私・・・。冬弥と話してる!!ずっと話したかった。
夢かな・・・?いや、夢じゃない。
「ずっと、・・・。会いたかったよ。冬弥・・・」
「おい、泣くなよ。怖かったのか・・・?」
コクンとうなずくと。「ほら。」と言って、タオルをくれた。
冬弥の匂いだ。懐かしい。
「会いたかったって・・・。いつも学校で会ってるけど?でも、たしかに話してなかったな。星樹とも。」
「うん。」
「泣くほど会いたかったのか?」
「うん。・・・。」
「お前、俺らのこと相当好きだろ?!」
「当たり前だよ・・・。冬弥、、。お願い。又仲良くしたいな。」
「うん。」
「星樹とも。」
「おうっ!」



中学生になって、初めてうれしいことがあったよ。
それは、今日。
神様、ありがとうございます。