柚子希Sibe
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「………ん。」
何だろ。
目がぼやけて見える。
「………!!」
私は、前後左右、見渡す。
どこを見ても、真っ白。
人1人いない。
「ここ………。
何処………………?」
足を動かし、真っ白の空間を歩く。
怖い。
というか、家に帰れるか、不安なんだ。
「誰か〜〜〜!!
誰か、いませんか〜〜〜〜〜!?」
叫んでも、自分の声が、真っ白な空間に響くだけ。
返事は1つも、ない。
『…………き……。』
え?
今、誰かの声が…………………。
『……き。…ずき。
……柚子…希…………。』
この声は…………!!
その声は、何だか深く、優しい、聞き覚えのある声だった。
「零!?」
間違いなく、零の声だった。
『柚子希……………。』
声がした方向を向くと。
「あ…………………。
――零……………!!」
そこには零が微笑んで、空中に浮いていた。
『柚子希。……久しぶり。
大きくなったな。』
にかっと、白い歯を見せて笑う零。